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山が喋っていた

れの過去の無分別を全

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れの過去の無分別を全


「まさしく。提案事項は一覧表にして、レンダ伯にお渡ししておきます。プラタイムもわたしも事業家ですから、われわれの存在自体が陛下のお心を悩ませるかもしれません。なるべく背後に引き退がって、表立たないようにするつもりでおります」
「なんと細やかな、すばらしい心遣いでしょう、ミロード。でもわたくし、正直な方々がそこにいることで心を悩ませることはありません」
「正直な方々?」プラタイムが耳障りな笑い声を上げる。「どうもおれたちは侮辱されたみたいだぜ、ストラゲン」
「正直な|殺し屋《カットスロート》のほうが、不正直な廷臣よりもましです。ところで、本当に喉《スロート》を|切る《カット》ようなことをするものなのですか」
「二、三人やったことはありますよ、陛下」プラタイムは肩をすくめた。「他人が財布に何を入れてるか調べるには、この方法がいちばん静かなんです。おれは昔から他人の財布の中身にひどく興味がありましてね。そういえば、それで思い出した。おい、タレン、おまえから陛下にお話ししてくれ」
「何の話だ」スパーホークが尋ねる。
「手数料のことで、ちょっとね」とタレン。
「ほう」
「ストラゲンは無料で引き受けるって言ってくれてるんだ」
「いい経験だからな」ストラゲンが説明する。「ウォーガン王の宮廷は少しばかり粗野なところがある。エレニアの宮廷は申し分なく礼儀正しく、完全に堕落しているともっぱらの評判だ。篤学の士はあらゆる機会を利用して、自分の教養を深めようとするものなんだ。しかしプラタイムはそれほど研究熱心ではないから、もう少し実体のある報酬を求めているわけだ」
「たとえば?」スパーホークはざっくばらんにプラタイムに尋ねた。
「おれはそろそろ引退を考えてるんだよ、スパーホーク。どこか静かな田舎のほうで、ふしだらな若い女たちに囲まれて――失礼、女王陛下――楽しく余生を過ごしたいもんだってね。だが捕まれば縛り首なんて罪状をいくつも抱えたままじゃあ、残る人生を本当に楽しむことなんかできっこない。もしも女王陛下にお面的に許してくださるお気持ちがあるなら、おれは命を懸《か》けて陛下をお守りする」
「具体的にはどんな無分別のことを言っているのですか、マスター?プラタイム」エラナが疑わしげに尋ねた。
「なに、そう大したことじゃありません」プラタイムは謙遜《けんそん》した。「二、三の偶発的な殺人と、種々雑多な窃盗、強盗、強請《ゆすり》、押し込み、放火、密輸、追い剥ぎ、牛泥棒、僧院での略奪がいくつか、もぐりの売春宿の経営――そんなようなものです」
「ずいぶん手広く事業をやっているんだな、プラタイム」ストラゲンが感心したように言った。
「ただの暇つぶしだよ。できればまとめて大赦ってことにしたほうがいいと思うんですがね、陛下。数え忘れがありそうなんで」
「今までにあなたが犯さなかった[#「犯さなかった」に傍点]罪が何かあるのですか、マスター?プラタイム」エラナがきびしい顔で尋ねる。
「船荷詐欺でしょうかね、陛下。どういう行為がそれに当たるのかよく知らないんで、自信はないんですが」
「船長が積荷を盗む目的で、故意に船を難破させることだ」ストラゲンが情報を提供した。
「ああ、それなら確かにやったことはないな。あと動物と交わったことも決してないし、魔術を使ったことも、大逆罪に関わったこともない」
「なるほど、そちらのほうが重大な罪でしょうね」エラナは真顔で答えた。「愚かな若い羊たちの品行については、大きな関心を寄せていますから」
 プラタイムは大声で爆笑した。
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